日本の大災害とポーランド公演記(3)

その会場にはマンガ館々長達の発案で日本の大災害支援の為の募金箱が設置されたのでした。そして集まった義援金が日本円で約30万円以上でした。入場者の殆どが学生や若者達で、その乏しいお財布から頂いた尊い義援金です。何と温かいお志でしょうか。胸が熱くなりました。
アンコール曲を演奏後、観客に向かい日本語ですが日本国を代表しての気持ちで御礼の言葉を述べました。そして必ずやこの貴重な支援金を生かすべき被災地なり、支援機関にお届けする事をお約束をし、お預かりしてきたのです。
そして日本が復興した目途が付いたなら、またクラクフへ再び戻ってお礼の公演をする事を約束しました。大きな拍手を頂きました。必ず来よう…と心に誓いました。

また前日の夜、アメリカ領事館から私達一行がレセプションに招待されました。領事夫人が日本人で是非我々を招いて食事をしたいとの申し出を受け、全員で出席しました。この席は本来、我々一行8名だけが招かれる会であったのですが、日本の大災害を知ってクラクフ市の著名な方が50名以上集まりまったのです。
アメリカ領事が日本の災害の実情を話され「日本の復興支援をしましょうと」呼びかけていました。そしてご来訪者に募金をお願いしていました。お礼を込めて新内を語り日舞も披露し、尺八も演奏し、私がお礼の挨拶を述べました。
世界中が支援を申し出ていますが、大の親日国であるポーランドの国民の多くが、この度の日本の災難に優しい関心を寄せ、心配と同情を寄せている事が滞在中に感じました。

クラクフで忘れ得ぬ感動した出来事がありました。リハーサルを済ませて会場からホテルへタクシーで戻りました。ホテルの前で降車すべく乗車料金を支払おうとしました。すると40代位の運転手さんが「日本が大災害を受けたので、私の心ばかりの支援ですので、タクシー代は結構です。復興に頑張って下さい」と云われました。一瞬言葉を失いました。驚きました。感動しました。同乗の女性は泣いてました。
何と優しい心でしょうか。滅多に出来る行為ではありません。果たして自分はこのような時に、こういう心を使えたでしょうか。ドネイト精神を発揮出来たでしょうか。丁寧にお礼を申し上げて降車してから、運転手さんのお心使いが嬉しかったと同時に何か自分が気恥ずかしく思い、考えさせられました。そして私の人生観が少し変わりました。

心に残る美しい出来事でした。(第4回へつづく)

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